ヒアルロン酸注射を続けているのに、以前より効く期間が短くなってきた場合、単に「注射が効かなくなった」と考えるだけでは不十分です。変形の進行や滑膜炎、半月板、骨、歩き方など、痛みの原因が変化している可能性があります。大切なのは注射の回数を増やすことではなく、現在の膝を改めて評価し、治療方針を見直すことです。
ヒアルロン酸注射で膝が痛いと感じる主な原因3選
ヒアルロン酸注射を受けた直後に膝が痛む場合と、注射を続けても以前のように痛みが軽くならない場合では、考えられる原因が異なります。まずは注射後に起こりやすい反応と、膝の状態そのものが関係するケースを分けて確認しましょう。
注射針の刺激による一時的な炎症
ヒアルロン酸注射では、膝関節の内部まで注射針を進めるため、針を刺した刺激によって一時的な痛みや腫れが生じる場合があります。注射を受けた当日から翌日にかけて違和感が出ても、必ずしも膝の状態が悪化したとは限りません。軽度であれば時間の経過とともに落ち着くことが多いものの、強い腫れや熱感、発熱、体重をかけられないほどの痛みがある場合は、感染などを除外するため早めの受診が必要です。
関節内に薬剤が入ることによる圧迫感
膝関節の中へヒアルロン酸を注入すると、一時的に関節内の圧迫感や張ったような感覚を覚えることがあります。もともと関節内に水がたまっている場合や炎症が強い膝では、こうした違和感を感じやすくなることもあります。「注射をしたのに、かえって重く感じる」という場合でも一過性であれば経過観察できるケースがありますが、症状が増していく場合には自己判断で次の注射を受け続けず、膝の状態を確認することが大切です。
ヒアルロン酸の効果が出にくい膝関節の変形
問題になるのが、「以前は注射をするとしばらく楽だったのに、最近は数日しか持たない」「次の注射まで痛みを抑えられない」という変化です。ヒアルロン酸には関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減する効果が期待できますが、すべての膝に同じように作用するわけではありません。変形性膝関節症の進行、強い炎症、半月板や軟骨下骨など別の組織の問題が加わると、ヒアルロン酸だけでは症状を十分に抑えられなくなる場合があります。
ヒアルロン酸注射後に膝が痛い場合の対処法
注射直後の軽い痛みであれば過度に心配する必要がない場合もあります。一方、注射を受ける前より明らかに痛みが強い、腫れが続くといった場合には注意が必要です。自宅でできる基本的な対応と、医療機関へ相談すべき目安を確認しておきましょう。
「ヒアルロン酸注射を続けても膝が痛い」「効果が持続しなくなってきた」とお悩みの方へ、各治療法の特徴や違いをまとめました。現在の膝の状態や目的に合わせた治療選択の参考にしてください。
| 治療法 | 治療目的・特徴 | 膝の痛みへの作用 | 身体への負担 | 通院・入院 | 費用区分 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸注射 | 関節の潤滑性向上・滑らかさの保持 | 一時的な摩擦軽減・痛み緩和(対症療法) | 低(関節内注射のみ) | 日帰り(定期的通院) | 保険適用 |
| PRP療法 再生医療 |
自身の血液成分で関節内の抗炎症・組織修復の促進 | 痛みの原因となる慢性的な炎症そのものを抑える | 低(採血と関節内注射のみ) | 日帰り | 自由診療 |
| 幹細胞治療 再生医療 |
自身の幹細胞で関節内環境の改善・抗炎症作用 | 長引く強い痛みや炎症に対し、中長期的な改善を目指す | 低〜中(脂肪採取と関節内投与) | 日帰り可 | 自由診療 |
| 人工関節手術 | 変形した骨・軟骨の置換(根本的治療) | 損傷部位を切除・置換することで物理的に痛みを除去 | 高(切開手術・リハビリが必要) | 入院(数週間程度) | 保険適用 |
患部を冷やして安静を保つ
注射後に軽い腫れや熱っぽさを感じる場合には、膝へ強い負荷をかけず安静にします。必要に応じてタオル越しに患部を短時間冷やすことも選択肢です。注射後に痛みが軽くなったからといって、すぐに長距離を歩いたり激しい運動をしたりすると、膝への負担が増える可能性があります。痛みが一時的に軽減したことと、関節の状態そのものが改善したことは同じではありません。治療当日の運動や入浴などについては、注射を受けた医療機関の指示を優先してください。
処方された鎮痛薬を服用する
注射後の痛みに対して鎮痛薬が処方されている場合は、医師から指示された用法・用量に従って使用します。市販薬を自己判断で追加する場合には、持病や服用中の薬との組み合わせにも注意が必要です。また、鎮痛薬によって痛みが抑えられていても、その状態で無理に活動量を増やすことはおすすめできません。「痛みを感じないから治った」と判断せず、膝の腫れや動き、歩行時の違和感も合わせて確認することが重要です。
数日様子を見ても改善しない場合は医師に相談する
注射後の痛みが数日たっても改善しない、時間とともに悪化する、膝が赤く腫れて熱を持つといった場合には、治療を受けた医療機関へ相談してください。とくに発熱を伴う場合や、膝に体重をかけられないほど急激に痛くなった場合は早めの受診が必要です。また、「注射直後の痛み」ではなく「毎回注射をしても膝痛そのものが改善しなくなった」というケースでは、注射後の反応ではなく治療方針そのものを見直す段階に入っている可能性があります。
ヒアルロン酸注射をしても膝が痛い状態が続く理由
ヒアルロン酸注射の間隔が徐々に短くなっている方にとって重要なのは、「あと何回打つか」より「なぜ以前ほど効かないのか」を確認することです。膝の痛みは軟骨だけで決まるものではなく、関節を構成する複数の組織や身体の使い方が関係しています。
ヒアルロン酸注射を続けているにもかかわらず「膝が痛いまま」「効果の持ちが悪くなった」と感じる場合、膝内部の病状が変化している可能性があります。以下の項目に当てはまるものがないか確認してみましょう。
-
ヒアルロン酸注射を打っても、数日〜1週間程度で膝の痛みが戻ってしまう
-
以前より注射の間隔が短くなっており、次の注射日まで痛みが我慢できない
-
ヒアルロン酸注射と併用して鎮痛薬や湿布を使っているが、膝の痛みがスッキリ引かない
-
「膝が痛い」ために階段の昇り降り、正座、長時間の歩行を避けるようになった
-
レントゲンや医師の診察で「軟骨がすり減っている」「変形が進んでいる」と言われた
変形性膝関節症が進行している
変形性膝関節症は時間とともに状態が変化する疾患です。初期にはヒアルロン酸注射で痛みをコントロールできていても、関節の変形や炎症が進めば、同じ治療では十分な効果を感じにくくなるケースがあります。「以前は1回打てば次回まで楽だったのに、最近はすぐ痛みが戻る」という変化は、現在の膝を再評価する一つのきっかけです。ただし、効く期間が短くなっただけで病気の進行度を断定することはできないため、診察や画像検査、身体機能の評価を組み合わせて判断します。
軟骨の摩耗が進行している
軟骨の摩耗が進んで関節裂隙が狭くなった膝では、ヒアルロン酸による潤滑作用だけで痛みを十分に抑えることが難しくなる場合があります。ただし、「軟骨が減っている=そこだけが痛みの原因」とは限りません。軟骨そのものだけでなく、滑膜の炎症、半月板の損傷や逸脱、軟骨の下にある骨の変化なども膝痛と関係します。そのため、レントゲンで軟骨のすり減りを見るだけではなく、どの組織が現在の痛みに関与しているのかを整理する視点が欠かせません。
ヒアルロン酸の効果が一時的な対症療法にとどまる
ヒアルロン酸注射は、関節内の環境を整えて痛みや動かしにくさの軽減を目指す治療です。一方、すり減った軟骨を元どおりに戻したり、変形した骨を正常な形に戻したりする治療ではありません。効果が得られている間は有力な保存療法ですが、「1か月効いていたものが2週間になった」「次の予約日まで持たない」と感じるのであれば、注射の間隔だけを短くする前に現在の治療目標を見直す必要があります。治療を続けること自体ではなく、歩く、階段を使う、外出するといった生活機能が改善しているかが重要な判断材料です。
ヒアルロン酸注射をしても膝が痛い場合の再生医療という選択肢
ヒアルロン酸注射で十分な改善が得られず、一方で手術には抵抗がある方には、PRP療法や自己由来の細胞を用いた治療などが選択肢になる場合があります。ただし、再生医療は誰にでも適しているわけではなく、期待できる効果と限界を理解したうえで適応を判断することが重要です。
「ヒアルロン酸注射を続けても膝が痛い」「効果が持続しなくなってきた」とお悩みの方へ、各治療法の特徴や違いをまとめました。現在の膝の状態や目的に合わせた治療選択の参考にしてください。
| 治療法 | 治療目的・特徴 | 膝の痛みへの作用 | 身体への負担 | 通院・入院 | 費用区分 |
|---|---|---|---|---|---|
| ヒアルロン酸注射 | 関節の潤滑性向上・滑らかさの保持 | 一時的な摩擦軽減・痛み緩和(対症療法) | 低(関節内注射のみ) | 日帰り(定期的通院) | 保険適用 |
| PRP療法 再生医療 |
自身の血液成分で関節内の抗炎症・組織修復の促進 | 痛みの原因となる慢性的な炎症そのものを抑える | 低(採血と関節内注射のみ) | 日帰り | 自由診療 |
| 幹細胞治療 再生医療 |
自身の幹細胞で関節内環境の改善・抗炎症作用 | 長引く強い痛みや炎症に対し、中長期的な改善を目指す | 低〜中(脂肪採取と関節内投与) | 日帰り可 | 自由診療 |
| 人工関節手術 | 変形した骨・軟骨の置換(根本的治療) | 損傷部位を切除・置換することで物理的に痛みを除去 | 高(切開手術・リハビリが必要) | 入院(数週間程度) | 保険適用 |
自身の細胞を活用して痛みの軽減を目指す仕組み
膝の再生医療では、自身の血液を利用するPRP療法や、自身の組織から得られた細胞を利用する治療などが行われています。PRPでは血小板などに含まれる成分を活用し、膝関節内の炎症や組織修復に関係する環境へ働きかけることで、痛みや機能の改善を目指します。幹細胞を用いた治療についても、抗炎症作用などを通じた症状改善が研究されています。ただし、「新しい軟骨が完全に再生する」「変形性膝関節症が治る」と保証できる治療ではありません。
すぐに次の日から日常生活に戻れる【日帰り治療】
膝へのPRP注射や細胞投与は、人工関節置換術のように膝を大きく切開する手術とは異なり、日帰りで実施できる場合があります。状態によっては翌日から通常の日常生活へ戻ることを目指せる点も特徴です。ただし、治療直後に激しいスポーツや膝へ大きな負荷をかけてよいという意味ではありません。治療内容によって必要な安静期間や運動制限は異なるため、医師の指示に沿って段階的に活動量を戻します。
痛みの原因となる炎症や組織損傷へのアプローチ
ヒアルロン酸が主に関節内の潤滑や症状緩和を目的とするのに対し、PRPなどでは炎症や組織修復に関係する反応へ働きかけることを目指します。臨床研究では、膝の変形性関節症に対するPRPがヒアルロン酸より長期的な疼痛・機能改善を示した報告もあります。一方、患者さんの年齢、変形の程度、炎症の状態などによって結果は異なります。再生医療を選べば必ずヒアルロン酸より良くなるわけではないため、「どの治療を打つか」より先に適応を見極めることが欠かせません。
ヒアルロン酸注射で膝が痛い方へおすすめするSAクリニックの特徴
ヒアルロン酸注射が効きにくくなったとき、SAクリニックでは単純に次の注射へ切り替えるのではなく、「何が痛みを起こしているのか」「歩行機能がどこまで低下しているのか」「再生医療を行う意味がある状態なのか」を確認したうえで治療方針を検討します。
膝関節治療に特化した高度な専門性
膝痛は「軟骨がすり減ったから痛い」という一つの説明だけで判断できるものではありません。滑膜炎、半月板、軟骨下骨、関節の可動域、筋力、脚のアライメント、歩き方など、複数の要素が重なって症状を生じさせます。そのためSAクリニックでは、画像だけを見るのではなく、実際に立つ、歩く、膝を曲げ伸ばしするといった動作も含めて状態を確認します。どこが悪いかではなく、「現在の痛みを何が生み出しているか」を整理することが治療選択の出発点です。
切らない治療で身体への負担を軽減
「ヒアルロン酸が効かないなら、次は人工関節しかないのでは」と不安になる方も少なくありません。しかし、手術の適応は変形の程度だけで一律に決まるものではなく、痛み、生活上の支障、年齢、全身状態、本人の希望などを含めて判断します。SAクリニックでは、手術以外の方法を希望する方に対し、運動や歩行機能へのアプローチとともにPRPや幹細胞治療などを検討します。切らないこと自体を目的にするのではなく、その方にとって治療による負担と期待できる利益が釣り合うかを確認することが重要です。
一人ひとりの状態に合わせた丁寧なカウンセリング
再生医療を検討する際に重要なのは、「希望すれば誰でも受ける」という考え方ではありません。SAクリニックでは、何が痛みを起こしているのか、歩行機能がどこまで落ちているのか、現在の膝に再生医療を行う意味があるのかを確認したうえで、PRPや幹細胞治療を検討します。反対に、別の治療を優先すべき状態であれば、その可能性も含めて説明することが必要です。ヒアルロン酸が効きにくくなったという一つの症状だけで治療を決めず、膝全体を評価して次の選択肢を考えます。
ヒアルロン酸注射で膝が痛いとお悩みなら再生医療も検討しよう!
ヒアルロン酸注射で痛みが軽減し、日常生活を維持できている場合は、医師と相談しながら継続することも選択肢です。
一方で、「以前より効く期間が短くなった」「注射をしても歩行や階段がつらい」と感じる場合は、膝の状態を再評価するタイミングかもしれません。
膝の痛みには、滑膜炎や半月板、軟骨下骨、筋力、可動域、歩き方など複数の要素が関係します。そのため、ヒアルロン酸が効きにくくなったからといって、すぐ再生医療へ切り替えるのではなく、痛みの原因や歩行機能を確認したうえで治療法を検討することが大切です。
PRPや幹細胞治療も選択肢の一つですが、効果には個人差があります。注射の間隔だけではなく、「歩ける距離が短くなっていないか」「階段や外出を避けていないか」といった生活の変化も、治療を見直す重要な目安になります。
ご相談・お問合せ
SAクリニックでは、膝関節治療を歩行機能の評価・改善からPRPや幹細胞治療などの再生医療まで一貫して検討しています。
ヒアルロン酸注射を続けているものの以前より効く期間が短くなってきた方、注射の間隔がどんどん短くなっている方、手術以外の治療を検討したい方は一度ご相談ください。
治療を受けることを前提とするのではなく、まず現在の膝について「何が痛みを起こしているのか」「歩行機能がどこまで低下しているのか」「再生医療を行う意味がある状態なのか」を確認し、今後どのような選択肢が考えられるのかを一緒に検討します。
ヒアルロン酸が効かなくなってきたことは、「もう打つ治療では改善できない」という意味ではありません。一方で、同じ治療を漫然と続けるのではなく、一度立ち止まって現在の膝を評価することが、次の治療を考えるうえで重要です。
※当院の診療は自由診療です。PRP療法や幹細胞治療を含む各治療の効果には個人差があり、すべての患者さんに同様の効果を保証するものではありません。適応やリスクについては診察時に医師が個別に説明します。
参考文献
日本整形外科学会「変形性膝関節症診療ガイドライン2023」
https://www.joa.or.jp/topics/2023/files/guideline.pdf
Bannuru RR, Osani MC, Vaysbrot EE, et al. OARSI guidelines for the non-surgical management of knee, hip, and polyarticular osteoarthritis. Osteoarthritis Cartilage. 2019;27(11):1578-1589.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31278997/
Dai WL, Zhou AG, Zhang H, Zhang J. Efficacy of Platelet-Rich Plasma in the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials. Arthroscopy. 2017;33(3):659-670.e1.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28012636/
Yusuf E, Kortekaas MC, Watt I, Huizinga TWJ, Kloppenburg M. Do knee abnormalities visualised on MRI explain knee pain in knee osteoarthritis? A systematic review. Ann Rheum Dis. 2011;70(1):60-67.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20829200/
Sadeghirad B, Rehman Y, Khosravirad A, et al. Mesenchymal stem cells for chronic knee pain secondary to osteoarthritis: A systematic review and meta-analysis of randomized trials. Osteoarthritis Cartilage. 2024;32(10):1207-1219.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38777213/
Tabet CG, Pacheco RL, Martimbianco ALC, et al. Advanced therapy with mesenchymal stromal cells for knee osteoarthritis: Systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. J Orthop Translat. 2024;48:176-189.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39360004/
厚生労働省「再生・細胞医療・遺伝子治療について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html
宮路 啓太 (みやじ けいた)
略歴
- 2013年私立ラ・サール高等学校 卒業
- 2019年神戸大学医学部医学科 卒業 / 加古川中央市民病院 初期臨床研修
- 2021年加古川中央市民病院 循環器内科
- 2024年隠岐医院 漢方内科 / 再生医療専門クリニックにて幹細胞治療に従事
- 2026年SAクリニック 院長
資格・所属学会
【資格】 医師免許(2019年取得) / 内科専門医
【所属学会】 日本内科学会、日本循環器学会、日本整形外科学会、日本抗加齢医学会、日本再生医療学会
監修者メッセージ
再生医療・内科・漢方の経験を融合し、単に痛みを抑えるだけでなく、全身のコンディションを整えて「生涯ずっと自分の足で歩き続ける」ための医療をご提案します。長引くお悩みも諦めずにご相談ください。

