再生医療のデメリットとは?治療の注意点やメリットをわかりやすく解説

再生医療のデメリットとは?治療の注意点やメリットをわかりやすく解説

再生医療には、治療費が高額になりやすい、効果に個人差がある、感染症などのリスクを完全にはなくせないといったデメリットがあります。一方、身体への負担を抑えながら症状や機能の改善を目指せる治療もあります。治療を検討するときはメリットだけでなく、費用、安全性、エビデンス、治療後のフォローまで確認することが大切です。

知っておくべき再生医療のデメリット3選

再生医療のデメリットを医師が解説

再生医療は、これまでの治療とは異なる選択肢になり得る一方、誰にでも同じ効果が得られる治療ではありません。治療を受けてから後悔しないためにも、費用や効果、安全性について理解しておく必要があります。ここでは、特に確認しておきたい3つのデメリットを解説します。

治療費が高額になりやすい

再生医療のなかには自由診療として提供されているものがあり、その場合は公的医療保険が適用されず、治療費を全額自己負担することになります。細胞の採取や加工、培養などを伴う治療では、その工程に応じて費用が高くなる場合もあります。また、診察や検査、治療後のフォローに別途費用が必要になるケースもあるため、提示された治療費だけで判断するのは避けたいところです。治療前には、総額の目安や追加費用の有無、治療回数について確認しておきましょう。

治療効果に個人差がある

再生医療を受ければ、必ず痛みや身体機能が改善するわけではありません。治療対象となる疾患、その進行度、年齢、全身状態などによって治療後の経過は異なります。たとえば変形性膝関節症に対するPRP療法や細胞を用いた治療についても複数の研究が行われていますが、治療法や対象患者によって結果は一様ではありません。期待できる効果だけを確認するのではなく、「どの程度改善する可能性があるのか」「改善しなかった場合はどうするのか」まで医師と話し合うことが重要です。

感染症などのリスクがゼロではない

再生医療も医療行為である以上、リスクを完全になくすことはできません。注射を伴う治療では、注射部位の痛みや腫れ、出血、感染などが起こる可能性があります。細胞を採取する処置を伴う場合には、その採取方法に応じた身体的負担も考える必要があるでしょう。実際にどのような有害事象が報告されているかは治療法によって異なります。治療前に起こり得る症状とその頻度、異常が起きた場合の連絡先や対応方法まで確認しておくことが大切です。

再生医療のデメリットが生じる理由

再生医療のデメリットを正しく捉えるには、「危険だから」「新しいから」と一括りにするのではなく、その背景を知ることが重要です。費用や効果、安全性に関する注意点には、それぞれ理由があります。治療を冷静に比較するため、主な3つの背景を確認していきましょう。

再生医療における保険診療と自由診療の比較表
比較項目 保険診療の再生医療 自由診療の再生医療
費用負担 原則1〜3割負担
公的医療保険が適用されるため、費用を低額に抑えられます。
全額自己負担(デメリット)
保険適用外となるため全額自己負担となり、高額になりやすい傾向があります。
対象治療の例 国の承認を受けた一部の「再生医療等製品」
(例:重症心不全や特定の軟骨損傷向け治療など)
クリニック等で提供されるPRP療法、幹細胞治療、PFC-FD®など
(主に運動器疾患や美容領域で提供)
治療の選択肢 適用条件や対象となる症状・病期が厳格に規定されています。 医師と患者の合意のもと、保険制限を受けず幅広く治療を選択できます。
費用の明確さ 全国一律の診療報酬に基づいて計算されます。 医療機関ごとに自由設定されるため、事前カウンセリング等で総額確認が必要です。

自由診療の扱いになることが多いから

医療機関で行われる再生医療のすべてが公的医療保険の対象になるわけではありません。自由診療として提供される治療では、医療機関が設定した費用を患者自身が負担するため、一般的な保険診療と比較して高額になることがあります。一方で、再生医療等製品には承認を経て保険診療で使用されるものも存在するため、「再生医療=すべて保険適用外」と考えるのも正確ではありません。検討している治療が保険診療なのか自由診療なのかを個別に確認する必要があります。

患者自身の細胞や状態が影響する場合があるから

再生医療には患者自身の血液や細胞などを利用する方法があり、治療結果にはさまざまな要因が関係します。また、同じ病名であっても、病変の程度や症状、年齢、生活習慣、既往歴などは患者ごとに異なるものです。そのため、同じ治療を受けた人の体験談が、そのまま自分にも当てはまるとは限りません。治療名だけを基準に選ぶのではなく、自分の状態がその治療の適応となるのかを診察や検査によって判断してもらうことが欠かせません。

比較的新しい医療技術だから

再生医療は研究と臨床応用が進められている分野であり、治療法によって科学的根拠の蓄積状況には差があります。一定の研究結果が報告されている治療がある一方、長期的な有効性や安全性について今後さらに検証が必要なものも存在します。「再生医療」という大きな括りだけで有効性を判断するのではなく、具体的にどの治療を、どの疾患に対して行うのかを見ることが重要です。治療を検討するときは、現時点でわかっていることと、まだ明確になっていないことの両方を確認しましょう。

再生医療のデメリットを軽減するための対策

再生医療に一定のデメリットがあるからといって、選択肢から最初から除外する必要があるとは限りません。重要なのは、リスクや不確実性を把握したうえで治療を選ぶことです。医療機関選びから治療前の説明まで、患者側で確認できる3つのポイントを解説します。

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実績豊富な信頼できるクリニックを選ぶ

再生医療を検討する際は、治療件数だけでなく、安全に提供するための体制まで確認しましょう。再生医療等安全性確保法の対象となる治療では、リスク分類に応じた手続きが定められ、再生医療等提供計画の提出などが必要です。検討している治療について必要な手続きが行われているか、治療後のフォロー体制が用意されているか、万が一の際にどのような医療対応を受けられるのかを確認してください。メリットだけでなく、治療を勧めないケースについて説明できる医療機関かどうかも大切な判断材料です。

事前カウンセリングで疑問点を解消する

カウンセリングでは「効果がありますか」と聞くだけではなく、具体的な条件を確認することが重要です。自分の症状や病期ではどのような改善が期待できるのか、治療回数は何回を想定しているのか、総額はいくらになるのか、副作用や合併症には何があるのかを質問しましょう。さらに、期待した効果が得られなかった場合の次の選択肢も聞いておくと安心です。その場で治療を決める必要があるとは限りません。説明内容を整理し、納得してから判断することが大切です。

治療の限界やリスクを正しく理解する

再生医療を検討するときに注意したいのが、「再生」という言葉から治療効果を必要以上に大きくイメージしてしまうことです。再生医療と呼ばれる治療でも、損傷した組織を完全に元通りにできるとは限りません。痛みや機能の改善を目的とする治療と、組織そのものの再生を目的とする治療では意味も異なります。治療によって何を目指すのかを明確にし、期待できる範囲と限界を理解しておけば、治療後の結果をより現実的に評価できます。

整形外科領域における主な再生医療の比較とデメリット・注意点
治療法 主な特徴・提供方法 身体的負担 費用区分 デメリット・理解すべき限界
PRP療法
(多血小板血漿療法)
自身の血液から成長因子を含む血小板を濃縮抽出して関節内に注射する。 軽度
採血と注射のみ
自由診療
比較的抑えめ
治療効果に個人差があり、組織の完全再生を保証するものではない。効果が持続しない場合がある。
幹細胞治療
(自家間葉系幹細胞)
自身の脂肪や骨髄から幹細胞を採取・培養し、関節内へ注入する。 中度
脂肪/骨髄の採取処置+注射
自由診療
高額になりやすい
細胞採取時の身体的負担がある。培養工程が発生するため総額費用が高額になりやすい。効果の個体差が大きい。
承認済 再生医療等製品
(自家軟骨移植等)
国の承認を受けた製品を用い、特定の基準・手技に沿って軟骨修復等を施す。 中度〜高度
手術・組織採取を伴う場合あり
条件付き保険適用 公的保険の対象となるが、適応症や患者の年齢・病期条件が非常に厳格で、誰でも受けられるわけではない。

再生医療のデメリットと比較したい3つのメリット

治療を選ぶ際は、デメリットだけで判断するのではなく、期待できるメリットとのバランスを見ることが大切です。特に整形外科領域では、手術とは異なる方法で症状や機能の改善を目指す選択肢として検討される場合があります。ここでは代表的な3つの特徴を確認します。

身体への負担が比較的少ない

注射を中心に行う再生医療では、外科手術と比べて切開範囲などの身体的負担を抑えられる場合があります。たとえば膝関節へのPRP療法や細胞を用いた治療では、関節内への注射によって治療を行う方法があります。ただし、細胞治療では脂肪や骨髄などを採取する処置が必要になることもあり、「再生医療だから身体への負担が小さい」と一律にはいえません。採取から投与までを含めて、具体的にどの程度の負担が生じるのかを確認しましょう。

アレルギー反応が起きにくい

自分自身の血液や細胞を利用する自家由来の治療では、他人由来の成分を使用する場合と比べ、免疫学的な拒絶反応などのリスクを抑えられることが期待されます。ただし、自家由来であれば副作用が一切起こらないという意味ではありません。採血や細胞採取に伴う負担、注射部位の痛みや腫れ、感染など、治療工程に関連するリスクは残ります。使用する細胞や血液の由来、加工方法まで確認したうえで、安全性について説明を受けることが重要です。

根本的な機能回復が期待できる

再生医療は、単に一時的に痛みを抑えるだけではなく、組織の修復や身体機能の改善を目標として研究・臨床応用されていることが特徴です。ただし、「根本的に治る」「軟骨が必ず再生する」と保証できるものではありません。たとえば変形性膝関節症に対するPRP療法では、プラセボとの比較で12か月後の痛みや軟骨量に有意差を認めなかったランダム化比較試験もあります。一方、間葉系幹細胞を用いた治療について有効性を検討する研究も蓄積されています。治療ごとのエビデンスを踏まえて判断することが必要です。

再生医療のデメリットに関するよくある質問

再生医療を検討している方からは、費用だけでなく「保険は使えるのか」「副作用が出たらどうすればよいのか」「年齢制限はあるのか」といった疑問も多く聞かれます。治療を決める前に確認しておきたい3つの疑問について、基本的な考え方を解説します。

保険適用される再生医療はありますか?

あります。再生医療等製品のなかには、国による承認を経て、対象となる疾患や条件のもとで保険診療として使用されるものがあります。一方、クリニックなどで提供されているPRP療法や細胞を用いた治療には自由診療として行われるものもあり、すべての再生医療に公的医療保険が適用されるわけではありません。重要なのは「再生医療かどうか」だけで判断せず、自分が受けようとしている具体的な治療について保険適用の有無を確認することです。

副作用が出た場合はどうすればよいですか?

治療後に強い痛みや腫れ、発熱、赤みなど、医師から事前に説明された範囲を超える症状が現れた場合は、自己判断で様子を見続けず、治療を受けた医療機関へ連絡してください。どのような症状が緊急性を伴うかは治療内容によって異なります。そのため治療前に、通常起こり得る反応、受診が必要となる症状、夜間や休診日の連絡方法まで確認しておくと安心です。治療そのものだけでなく、治療後に相談できる体制が整っているかも医療機関選びの重要なポイントになります。

高齢者でも治療を受けることは可能ですか?

年齢だけで一律に再生医療を受けられないと決まるわけではありません。ただし、治療の適否は年齢だけでなく、対象疾患の状態、症状の程度、持病、服用中の薬、全身状態などを含めて判断する必要があります。また、疾患が高度に進行している場合には、再生医療より別の治療が適しているケースも考えられます。「高齢だから無理」「手術を避けたいから再生医療」と最初から決めるのではなく、診察や画像検査などを踏まえて複数の治療選択肢を比較することが重要です。

再生医療のデメリットを理解して納得できる治療を選ぼう

再生医療には、治療費が高額になりやすい、効果に個人差がある、感染症などのリスクを完全にはなくせないといったデメリットがあります。また、治療法によっては長期的な有効性や安全性について、今後もデータの蓄積が必要です。

一方、治療内容によっては外科手術と比較して身体への負担を抑えながら、痛みや機能の改善を目指せる可能性があります。大切なのは「再生医療だから優れている」「新しい治療だから危険」と単純に判断しないことです。

同じ再生医療という名称でも、PRP療法、細胞を用いた治療、承認された再生医療等製品などでは、目的や方法、科学的根拠、安全性、費用が異なります。

治療を検討する際は、自分の疾患や症状が適応になるのか、どの程度の効果を期待できるのか、どのようなリスクがあるのかを医師に確認しましょう。費用総額や治療回数、治療後のフォロー体制についても事前に把握しておく必要があります。

メリットとデメリットの両方について十分な説明を受け、ほかの治療方法とも比較したうえで、自分自身が納得できる治療を選択することが重要です。

ご相談・お問合せ

SAクリニックでは、膝関節の症状に対し、現在の状態やこれまで受けてきた治療を確認したうえで、患者さん一人ひとりに適した治療方法を検討しています。

注射を続けても膝の痛みが改善しない方、手術以外の治療方法を検討している方、PRP・PDF-FD®や幹細胞治療についてメリットだけでなくデメリットも含めた説明を受けたい方は、一度ご相談ください。

再生医療を受けることを前提として診療を進めるのではありません。現在の膝の状態を確認し、再生医療が適しているのか、ほかにどのような治療選択肢が考えられるのかを一緒に検討します。

費用や期待できる効果、治療に伴うリスク、治療後の過ごし方など、気になることがあれば診察時にお尋ねください。治療内容を十分に理解し、納得したうえで選択することが大切だとSAクリニックでは考えています。

※当院の診療は自由診療です。治療効果には個人差があり、すべての患者さんに同様の効果を保証するものではありません。治療には痛み、腫れ、感染などのリスクが伴う場合があります。具体的な治療内容、費用、リスクについては診察時にご説明します。

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参考文献

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https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html

・厚生労働省「再生医療等提供計画の提出等について(概要)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/plan.html

・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「再生医療等製品」
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/about-reviews/ctp/0007.html

・独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「再生医療等製品 添付文書等情報検索」
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/saiseiSearch/

この記事の監修医師
SAクリニック 院長 宮路 啓太
SAクリニック(神戸元町)院長

宮路 啓太 (みやじ けいた)

内科医 内科専門医

略歴

  • 2013年私立ラ・サール高等学校 卒業
  • 2019年神戸大学医学部医学科 卒業 / 加古川中央市民病院 初期臨床研修
  • 2021年加古川中央市民病院 循環器内科
  • 2024年隠岐医院 漢方内科 / 再生医療専門クリニックにて幹細胞治療に従事
  • 2026年SAクリニック 院長

資格・所属学会

【資格】 医師免許(2019年取得) / 内科専門医
【所属学会】 日本内科学会、日本循環器学会、日本整形外科学会、日本抗加齢医学会、日本再生医療学会

監修者メッセージ

再生医療・内科・漢方の経験を融合し、単に痛みを抑えるだけでなく、全身のコンディションを整えて「生涯ずっと自分の足で歩き続ける」ための医療をご提案します。長引くお悩みも諦めずにご相談ください。

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